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ミール宇宙ステーションで成長していた微生物群

宇宙 生物

少し前にこういう記事が出ていた。

ミールを「宇宙船」としている時点でいい加減なサイトの適当な翻訳記事だと分かるが、それはともかくこの内容の出典を辿ってみる。

無重量環境で宙に浮いた黒っぽい水球画像の出典はこちらの動画0:45あたりに出てくるものだが、おそらく単なるイメージ映像で、無関係な色水を使った水球実験映像を挿入しているだけではないかと思う。まあ Science Channel(ディスカバリー)の「NASA'S Unexplained Files(NASA超常ファイル)」シリーズなので。

どうやら Space.com の2007年の記事から、オカルト系サイトを経由して毎度のことながらいい加減な妄想を散りばめているようだ。Space.com では過去のSF作品と絡めたりしてそれなりの記事にしているというのに。

さらに辿ってゆくと NASA Science のこの記事へ。

そして大元の論文へと行き着く。

このアブストラクト(要旨)を和訳してみる。

Three samples of humidity condensate that had accumulated behind panels aboard the Russian space station Mir were collected and returned to earth for analysis. As these floating masses of liquid come into contact with the astronauts and the engineering systems, they have the potential to affect both crew health and systems performance. Using a combination of culturing techniques, a wide variety of organisms were isolated included Escherichia coli, Serratia marcescens, and a presumed Legionella species. In addition, microscopic analysis indicated the presence of protozoa, dust mites, and spirochetes. These findings suggest the need for more comprehensive microbial analysis of the environment through the use of new methodologies to allow a more thorough risk assessment of spacecraft.

ロシアの宇宙ステーション・ミールの搭載パネル背面に溜まっていた、湿った凝縮物の3試料を採取し、分析のため地球へ戻した。これら浮遊する液体の塊が宇宙飛行士や機関系統と接触すると、乗組員の健康とシステムの働きの両方に影響を与える可能性がある。培養技術を組合わせることで、大腸菌、セラチアそしておそらくレジオネラ種を含んだ多様な生物を単離した。また、顕微鏡分析では、原虫、ダニ、およびスピロヘータの存在を示した。これらの知見は、もっと念入りに宇宙船をリスク評価できる新手法を使った、環境内のより包括的な微生物分析の必要性を示唆している。

Microbial Characterization of Free Floating Condensate aboard the Mir Space Station

宇宙船内などの閉鎖環境で繁殖したバクテリアなどを原因とする病気やシステム故障というのは、SFのネタとしてはいいが現実にはごめんこうむりたいものだ。

その他参考

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈上〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈上〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈下〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈下〉