本日開催された文学フリマ東京40に出店し、ハル・クレメント(Hal Clement)のデビュー短編 “Proof”(1942年作品)の翻訳を横書きの中綴じコピー本として発行しました。
頒布物
初出は Astounding Science-Fiction 誌1942年6月号で、約6500語。発表年とこれまで未邦訳だった点から、いわゆる「翻訳権の十年留保」が適用される作品です。
説明抜きだと速やかな理解が難しいと思われる箇所がいくつかあるので、やむを得ず訳注をつけています。
なにせ手製のコピー本(正確にはコンビニプリント本)で少部数なため、通販は予定していません。今後の頒布予定は未定です。ここには記録として残しておきます。
この本はVivliostyleによるCSS組版で作成しました。なお、表紙に使用したフォントは、もじワク研究さんの「廻想体 ネクスト ユーピー(Kaisotai Next UP)」です。感謝。
以下のあらすじはネタバレに全く配慮していないので注意。
あらすじ
太陽内部、プラズマガスの中に浮遊都市を築いて生きる、球形の体をした太陽人(ソラリアン)たちは、エネルギー源である中性子物質(ニュートロニウム)を求めて太陽核へと定期的に危険な遠征を行っていた。その宇宙船の船体は中性子物質で形成されている。遠征用貨物船の船長クロンは、外宇宙から訪れて同行しているシリウス人の科学者を案内していた。通常はガスであるはずの「普通の物質」が、極端にエネルギーが低い環境では、中性子物質のように凝縮して固体化するのではないか――そんな仮説を、このシリウス人は検証しようとしていた。それを知り、思い当たったクロンは過去に自らが体験した事件について語り始める。
かつて並んで別の船で航行していたクロンの同僚アクロが、異星生命の標本を船に搭載して太陽へ帰還中、未知の重力源に捕えられた上、あらゆる放射を吸収する謎の「エネルギー真空」に閉じ込められてしまい、交信の後に消息を絶ったのである。
この事件の起きた同時刻、地球にいる地質調査員ゴードン・アラーは、オーストラリア上空に突如出現した流星を目撃する。それは高速で地表に激突すると、強烈な光と高熱を放ち続けて地の奥へと沈んでいくのであった。そう、これこそがアクロの船であった。
彼ら恒星居住生命は、低温の固体(つまり「エネルギー真空」こと惑星)を知らなかった。クロンの語った出来事はシリウス人科学者の仮説を裏付ける証拠となる可能性があるものの、彼らにとって常識外の内容ゆえに、このシリウス人はクロンの作り話だとして流してしまうのであった。
翻訳に際しての参考文献
- Title: Proof - ISFDB
- Astounding Science-Fiction, June 1942, pp. 101-109.
- Astounding Science Fiction - LUMINIST ARCHIVES
- Clement, Hal. “Comment on Proof,” SF: Authors’ Choice 2, Berkley Medallion, 1970.
- ———. “About ‘Proof’,” Unearth, Spring 1977, Unearth Publications.
- ———. “About ‘Proof,’ of Course,” Wondrous Beginnings, DAW Books, 2003.
