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ミール宇宙ステーションで成長していた微生物群

少し前にこういう記事が出ていた。

ミールを「宇宙船」としている時点でいい加減なサイトの適当な翻訳記事だと分かるが、それはともかくこの内容の出典を辿ってみる。

無重量環境で宙に浮いた黒っぽい水球画像の出典はこちらの動画0:45あたりに出てくるものだが、おそらく単なるイメージ映像で、無関係な色水を使った水球実験映像を挿入しているだけではないかと思う。まあ Science Channel(ディスカバリー)の「NASA'S Unexplained Files(NASA超常ファイル)」シリーズなので。

どうやら Space.com の2007年の記事から、オカルト系サイトを経由して毎度のことながらいい加減な妄想を散りばめているようだ。Space.com では過去のSF作品と絡めたりしてそれなりの記事にしているというのに。

さらに辿ってゆくと NASA Science のこの記事へ。

そして大元の論文へと行き着く。

このアブストラクト(要旨)を和訳してみる。

Three samples of humidity condensate that had accumulated behind panels aboard the Russian space station Mir were collected and returned to earth for analysis. As these floating masses of liquid come into contact with the astronauts and the engineering systems, they have the potential to affect both crew health and systems performance. Using a combination of culturing techniques, a wide variety of organisms were isolated included Escherichia coli, Serratia marcescens, and a presumed Legionella species. In addition, microscopic analysis indicated the presence of protozoa, dust mites, and spirochetes. These findings suggest the need for more comprehensive microbial analysis of the environment through the use of new methodologies to allow a more thorough risk assessment of spacecraft.

ロシアの宇宙ステーション・ミールの搭載パネル背面に溜まっていた、湿った凝縮物の3試料を採取し、分析のため地球へ戻した。これら浮遊する液体の塊が宇宙飛行士や機関系統と接触すると、乗組員の健康とシステムの働きの両方に影響を与える可能性がある。培養技術を組合わせることで、大腸菌、セラチアそしておそらくレジオネラ種を含んだ多様な生物を単離した。また、顕微鏡分析では、原虫、ダニ、およびスピロヘータの存在を示した。これらの知見は、もっと念入りに宇宙船をリスク評価できる新手法を使った、環境内のより包括的な微生物分析の必要性を示唆している。

Microbial Characterization of Free Floating Condensate aboard the Mir Space Station

宇宙船内などの閉鎖環境で繁殖したバクテリアなどを原因とする病気やシステム故障というのは、SFのネタとしてはいいが現実にはごめんこうむりたいものだ。

その他参考

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈上〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈上〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈下〉

ドラゴンフライ―ミール宇宙ステーション・悪夢の真実〈下〉

東京で電気工事や水道工事の業者を探す

東京在住者が自宅の修繕などで電気工事や水道工事などを頼む業者を探す際、Webにあふれる有象無象のランキングやら紹介記事などで迷うのが無駄なのでメモしておく。

電気工事

水道工事

脳のモデリング参考

モデリング動画

3ds Max


Maya


Blender でスカルプト


LightWave による簡易な方法

発想の勝利といいたいのが、以下の LightWave 動画。Layout にてエッジに負の値を入れてレンダリングすることで、手軽に脳状のモデルを作成している。


洋風装飾・建築モデリング参考

装飾・オーナメント

3ds Max


参考資料

世界装飾図 (マールカラー文庫 (2))

世界装飾図 (マールカラー文庫 (2))

文様博物館 (マールカラー文庫)

文様博物館 (マールカラー文庫)

ヨーロッパの文様事典 (みみずくアートシリーズ)

ヨーロッパの文様事典 (みみずくアートシリーズ)

すぐわかるヨーロッパの装飾文様―美と象徴の世界を旅する

すぐわかるヨーロッパの装飾文様―美と象徴の世界を旅する

ヨーロッパの装飾と文様

ヨーロッパの装飾と文様

円柱

古典建築様の円柱。

3ds Max


アーチ

LightWave

よくある丸いアーチであれば、適当な分割数のディスクから、ベベル→押出しで作成できる。石などを積み上げて造る(組積造)アーチの場合は、ブロックの数を必ず奇数にして「キーストーン」を作ること。

以下は大聖堂などで使われる交差ヴォールト天井の作成方法。

こちらはプラグインの LWCAD を利用した、アーチ開口部の作成方法。

facade.jpg

LWCADはスナップ機能も強力なので、[作成(CAD5 Create)]タブ>[プリミティブ(ポリゴン) (Primitives(pol))]>[円弧セクション(ArcSection)]とベベルを使えば、それほど手間をかけず意図した場所にアーチを作れる。もっと楽な方法があるかもしれないが。

なお、LWCAD 自体については以下の記事を参照のこと。

イオンクラフトとビーフェルド・ブラウン効果

イオンクラフト(別名リフター)が浮上・飛行する原理を調べるとビーフェルド・ブラウン効果というものが出てくるので、それについてのメモ。

結論を言うと要はイオン風の発生現象である。イオン風とは、高圧放電により発生したイオンに衝突された中性分子(ここでは大気分子)が生む気流のこと。

主にトマス・タウンゼント・ブラウン (Thomas Townsend Brown) という人物がそう主張していたからなのだが、イオンクラフトには謎の力(反重力?)が働いているとされることもあったらしく、いまだに胡散臭い説明をあちこちで見かける。ここでは Wikipedia で参考文献として挙げられていた検証論文の一部を和訳してみた。タイトルを訳せば「ビーフェルド・ブラウン効果:コロナ風現象の誤解」となる。

まずは要旨(Abstract)。

With its theoretical origins dating back to the early 1920s, the Biefeld-Brown effect was believed to be responsible for the generation of thrust in capacitor configurations exposed to high voltage. This thrust was claimed to be unrelated to corona wind phenomena and to exist in vacuum. These claims, although only published in patents, survived until recent publications for very advanced propulsion concepts. Brown’s and similar work, as well as credible theoretical and experimental studies relating to the Biefeld-Brown effect, are reviewed. Moreover, an experiment was carried out to investigate any thrust not related to corona discharges. No thrust was detected within the accuracy of the experimental setup. This puts new boundaries on any anomalous Biefeld-Brown force. Measurements indicate that such anomalous force must be at least five orders of magnitude below corona wind phenomena and must have at least a two orders of magnitude higher power-to-thrust ratio compared to traditional electric propulsion thrusters. Hence, even if the effect exists, it would not be attractive for space propulsion. The obtained results suggest that corona wind effects were misinterpreted as a connection between gravity and electromagnetism.

その理論的起源は1920年代初頭までさかのぼるが、ビーフェルド・ブラウン効果は、高電圧にさらされたキャパシタ構造が推力の発生原因であると信じられていた。その推力はコロナ風現象とは無関係で、真空中でも存在すると主張されていた。これは特許だけで公開されており、非常に高度な推進コンセプトを扱った最近の出版物にまで生き永らえていた。ブラウンのものや類似の案件だけでなく、ビーフェルド・ブラウン効果に関しての信頼できる理論的・実験的研究も評価した。さらに、コロナ放電に関連しない推力を調べる実験をおこなった。推力は実験の精度内で検出されなかった。これは異常なビーフェルド・ブラウン力に新たな境界を引く。測定では、このような異常な力がコロナ風現象より少なくとも5桁以上小さくなければならず、従来の電気推進スラスタと比較して少なくとも2桁高い電力推力比を有していなければならないことを示している。したがって効果が存在したとしても、宇宙推進として魅力的ではないだろう。得られた結果は、コロナ風の効果が重力と電磁気との間で誤って解釈されたことを示唆している。

Biefeld-Brown Effect: Misinterpretation of Corona Wind Phenomena (AIAA)

なお、キャパシタというのはいわゆるコンデンサのこと。コロナ風はイオン風と同じもの……というかおそらくコロナ放電に伴うイオン風がコロナ風と呼ばれるのだろう。もしイオン風ではない謎の力が発生しているなら、大気分子のない(または極めて少ない)真空中でも推力が出るはずだが、そうはならなかったということである。

続いて以下の序論 (Introduction) を読んでみると、 NASA が1996年から2002年にかけて実施した画期的推進物理学プログラム (BPP) に関連して調査されたということがわかる。このプログラムではワープ推進を始めとした「将来の宇宙推進に使える可能性があるかも?」というネタを怪しいものからまともなものまで片っ端から調べたらしいので、取り上げられた理由は納得できる。引用文中にあまり聞き慣れない「特許請求の範囲」という用語が出てくるが、これは要するに特許の書類のこと。

Because the propellant onboard a spacecraft contributes to a large extent to the overall mass, propellentless propulsion with thrust levels at least comparable to existing electric propulsion thrusters could dramatically reduce current costs for space exploration. Conventional concepts developed in the pursuit of this goal use either electromagnetic tethers (utilizing the Earth’s magnetic field) or photons (solar sails or laser propulsion). NASA launched the Breakthrough Propulsion Physics Project1 in 1996 to investigate more speculative and exotic concepts, for instance, possible connections between gravitation and electromagnetism, that could be utilized for propulsion. Often appearing in the popular literature and Internet homepages is the Biefeld-Brown effect,2 which is widely believed to show just such a connection and promises a breakthrough in propulsion. Although the description of this effect is based solely on patent claims, and even those claims have been shown to be from a different origin than studies on to gravity, recent papers and patents (even by NASA) revive the Biefeld-Brown topic and repeat the original claims.3-6

This paper will review the literature, including claims and both theoretical and experimental studies related to the Biefeld-Brown effect. Moreover, an experiment has been carried out in hopes of definitively settling the matter. The results, as well as all previous credible studies, suggest that the Biefeld-Brown effect, within the accuracy of the used instrumentation, is not a connection between gravitation and electromagnetism, but a misinterpretation of corona wind phenomena. The phenomena are indeed used for new propulsion concepts, such as drag reduction systems for supersonic aircraft and future launchers.

宇宙船に搭載された推進剤はその全体質量の大部分を占めるため、少なくとも既存の電気推進スラスタに匹敵する推力レベルの推進剤不要な推進方法なら、現在の宇宙探査コストを飛躍的に削減することができる。この目標を目指して開発された従来のコンセプトでは、電磁テザー(地磁気を利用)か光子(太陽帆やレーザー推進)を使う。NASA は宇宙推進に利用できるような、例えば重力と電磁気の間にありそうな結びつきといった、より投機的で新奇なコンセプトを調査するため、1996年に画期的推進物理学プログラム[1]を開始した。よく大衆文学やインターネットのホームページに記されているのはビーフェルド・ブラウン効果で、これはまさにそのような結びつきを示し、推進におけるブレークスルーが約束されていると広く信じられている[2]。この効果の説明は特許請求の範囲のみに基づいているが、この特許では重力についての知見とは異なる原因をもつとされており、最近の論文や特許(NASAによるものですら)においてビーフェルド・ブラウンの話題を甦らせ、元の特許に繰り返し言及することになっている[3-6]。

本稿では、ビーフェルド・ブラウン効果に関する特許請求の範囲を含んだ理論的・実験的研究文献を評価する。また、実験は決定的な問題解決を望んでおこなわれている。その結果だけでなく、これまでの信頼できる研究すべてにおいて、使用する計測器の精度内で、ビーフェルド・ブラウン効果が示すのは重力と電磁気の結びつきではなく、コロナ風現象の誤解である。この現象は、超音速航空機の抗力低減システムや未来型の打上げ装置のような新しい推進コンセプトで実際に使われている。


  1. Millis, M., “Challenge to Create the Space Drive,” Journal of Propulsion and Power, Vol. 13, No. 5, 1997, pp. 577–682.
  2. Brown, T. T., “A Method of and an Apparatus or Machine for Producing Force or Motion,” U.K. Patent No. 300.311, 15 Nov. 1928.
  3. Stein,W., and Rusek, J., “Electrokinetic Propulsion for Exoatmospheric Applications,” International Conf. on Green Propellant for Space Propulsion, European Space Research and Technology Center, June 2001.
  4. Campell, J. W., “Apparatus and Method for Generating Thrust Using a Two Dimensional, Asymmetrical Capacitor Module,” U.S. Patent 6,317,310, granted 13 Nov. 2001.
  5. Serrano, H., “Propulsion Device and Method Employing Electric Fields for Producing Thrust,” U.S. Patent 6,492,784, granted 10 Dec. 2002.
  6. Loder, T. C., III, “Outside the Box Space and Terrestrial Transportation and Energy Technologies for the 21st Century,” AIAA Paper 2002-1131, 2002.
Biefeld-Brown Effect: Misinterpretation of Corona Wind Phenomena (AIAA)

ということで、「ビーフェルド・ブラウン効果」などともっともらしい名前が付いているが、要するにイオン風が発生するだけのことである。イオン風とは別の現象があると異議を唱える人もいるようだが、見込みはなさそうだ。

イオンクラフトを1964年に発明したアレキサンダー・P・デセバスキーは、さらに昔の1931年に航空機メーカー「セバスキー」を創業している。セバスキー社はのちにリパブリック社となり、P-47戦闘機など軍用機の開発・生産を手掛けた。

余談だが、イオンクラフトというとSFファン的には小松左京空中都市008』(1969年刊、作中表記「アイオノクラフト」)や光瀬龍百億の昼と千億の夜』(1969刊、作中表記「イオノクラフト」)が思い出される。海外SFではフィリップ・K・ディック『ガニメデ支配』(原著1967年刊)にも出てくる。1960年代には未来の飛行手段として夢見られていたのだろう。それと、背びれがイオンクラフトになっている空飛ぶトカゲ様生物の画を、誰かのSFイラストで見た記憶がある。

空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社青い鳥文庫)

空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社青い鳥文庫)

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

ガニメデ支配 (創元SF文庫)

ガニメデ支配 (創元SF文庫)

地球侵略について考察(?)した映像番組

古くはH・G・ウェルズ宇宙戦争』などから現在に至るまでSFの題材にされてきた、「地球侵略」について考察(?)する番組が近年いくつか作られていたようなので、ここに並べてみた。恒星間航行が可能なら惑星侵略なんてする必要がないのでは?――などと真面目に考えると話が終わるのでそこは触れないように。

2010年9月 カク博士のSF研究室2-5:エイリアンの地球侵略

ミチオ・カクのSF科学番組 Sci Fi Science: Physics of the Impossible(邦題:カク博士のSF研究室)のシーズン2で放映されたエピソード。


Sci Fi Science: Season 2, Episode 5 "Alien Invasion"

Sci Fi Science: Season 2, Episode 5 "Alien Invasion"

  • Network: Science Channel
  • Original air date: September 22, 2010
  • Format: Amazon Instant Video

ちなみにこの番組シリーズの元になった著書『サイエンス・インポッシブル SF世界は実現可能か』には「地球外生命とUFO」という章があるが、地球侵略についてはさほど取り上げられていない。有名なカルダシェフ・スケール(ニコライ・カルダシェフによる高度宇宙文明のレベル分け)を紹介し、タイプIII文明は自己複製ロボットを銀河のあちこちへ送り込めるだろうという記述はある。しかしだからといってタイプIII文明による資源目的の惑星征服などはありえず、レベルが違いすぎて我々人類は単に無視されるだけだと結んでいる。

サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か

サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か

2010年10月 宇宙のウソ・ホント:エイリアンの襲撃

天文学者フィリップ・プレイトが出演する番組 Bad Universe(邦題:宇宙のウソ・ホント)の1エピソード。

Bad Universe [DVD] [Import]

Bad Universe [DVD] [Import]

地球外ウイルス、地球外細菌、そして自己複製探査ロボット(いわゆるノイマン型プローブ)などによる侵略に触れているようだ。プレイト氏は著書『宇宙から恐怖がやってくる! 地球滅亡9つのシナリオ』の中でも同じような点を解説・考察していた。そこから少しだけ引用してみる(傍点箇所は太字にした)。

いろいろな話を考え合わせると、好戦的な種族のほうが、宇宙旅行を実現する可能性がより高いのかもしれない、とわかるのだ。勝利を重ねた種族はどこよりも高度なテクノロジーをもっているだろうし、敵意をむき出しにまではしなくても、少なくともよそ者に対する警戒心が強いだろう。このことは、われわれ自身の星の場合にも確かに当てはまる。

こうした先進文明は、よそ者嫌いでエイリアンを恐れているはずだ。すでに、恒星間を旅する宇宙船の建造が技術的には可能なことは明らかにした。また、そうした宇宙船がみずからの複製をつくるように設計し、銀河系全体をくまなく探査するのにかかる時間を短縮することも可能である。

では、被害妄想的な種族にそんな宇宙船をつくる力を与えたらどうなるだろう?

宇宙から恐怖がやってくる! ~地球滅亡9つのシナリオ

宇宙から恐怖がやってくる! ~地球滅亡9つのシナリオ

2011年5月 エイリアン・インベージョン


When Aliens Attack

When Aliens Attack

  • Studio: National Geographic
  • DVD Release Date: September 12, 2011

地球外からの侵略が起こった場合についてシミュレーションしてみるという主旨の番組。
……なのだが、ツッコミどころ満載の内容になっている。扱うネタがネタなので仕方ないのだろうが、これはとりわけ詰めが甘いように思う。

調べてみると、地上波でも2012年6月4日の『世界まる見え!テレビ特捜部』と、2012年7月8日の『世界まる見え!DX特別版』で一部が取り上げられた模様。

番組のネタ本 Alien Invasion: How to Defend Earth の著者 トラヴィス・S・テイラー (Travis S. Taylor)ボブ・ボーン (Bob Boan) の2人も解説者として出演し、さらに番組の科学コンサルタント (Scientific Consultants) としてもクレジットされている。テイラー本人が言うには、もともと非対称戦を研究していた際の副産物として、エイリアンの侵略というネタを考察してその防衛プランを出版したとのこと。他には毎度おなじみSETI研究所のセス・ショスタックも出演している。

Alien Invasion: How to Defend Earth

Alien Invasion: How to Defend Earth

Alien Invasion: How To Defend Earth (English Edition)

Alien Invasion: How To Defend Earth (English Edition)

番組の詳しい内容は長くなるので別に上げておく

テイラーとボーンの両氏は、2006年にも An Introduction to Planetary Defense という共著書を(他の著者とともに)出している。2007年にロイター通信の記事日本語訳)でも取り上げられていた。こちらのリンク先で冒頭が読める。

An Introduction to Planetary Defense: A Study of Modern Warfare Applied to Extra-terrestrial Invasion

An Introduction to Planetary Defense: A Study of Modern Warfare Applied to Extra-terrestrial Invasion

2011年8月 Curiosity 好奇心の扉:宇宙戦争は起こるのか?

ディスカバリーチャンネルのシリーズ番組 Curiosity(邦題:Curiosity:好奇心の扉)の1エピソード。エイリアンが地球侵略してきたときに果たして何が起こるのか、そして我々はどう戦い、生き残ることができるのかを考察。もはやこの手の話題ではお馴染みのミチオ・カクやSETI研究所セス・ショスタック、そして宇宙生物学者のリン・ロスチャイルドらが解説役の専門家として出演。

物理学者、宇宙生物学者、政府顧問、軍事戦略家らの協力による侵略シナリオを基にして、専門家らの解説の合間に、そのシナリオに沿って作られた想像シーンが挿入される構成になっている。

これも内容については長くなるのでメモを別に上げておく。まあ、ナショジオの番組よりはましか。

Alien Invasion: Are We Ready [DVD] [Import]

Alien Invasion: Are We Ready [DVD] [Import]


Curiosity: Season 1, Episode 2 "Alien Invasion: Are We Ready?"

Curiosity: Season 1, Episode 2 "Alien Invasion: Are We Ready?"

こちらは放映前の番宣映像だが、なぜかこれを某新宗教系雑誌のサイトが記事にしていた(文中のバンビーというのはバンビ(仔鹿)のことだろう)。

水中呼吸を可能にする人工のエラ「Triton」は実現できるのか?

こういうニュースが流れているのを知った。

左右に飛び出した棒状の部分には、水分子より小さな穴の空いた繊維が大量に詰められており、水から酸素を取り出す。ただし、必要な量の酸素をリアルタイムに得ることは難しいので、水中から取り出した酸素をコンプレッサで圧縮してタンクに貯め、これを人間が呼吸に使う。

コンプレッサはバッテリの電力で動くため、水中での活動はバッテリ駆動時間の45分に制限される。また、利用可能な最大深度は15フィート(約4.6m)

水中を魚のように泳げる人工エラ「Triton」--“海のトリトン”になれるかも - CNET Japan

……というものらしく、発案者にしてデザイナーの Jeabyun Yeon 氏のサイトは以下。

フィクションでは『007 サンダーボール作戦』『007 ダイ・アナザー・デイ』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に似たようなデバイスが出てきており、そのへんが発想の元ネタになっているらしい。個人的には『ドラえもん』のひみつ道具「エラ・チューブ」を思い出す。

この「Triton」の案は2年ほど前からあちこちで紹介されており、確かに実現すれば素晴らしいデバイスだろう。ただし、本当に実現できればの話である。

物理的な問題

やはり、物理的な問題を指摘している人がいた。以下はデバイスの実現可能性について指摘した2年前の記事。

この記事では物理学と生理学的な理由からありえないとしており、以下のような説明をしている。

まず、人間が呼吸する空気の量はだいたい1回で 500mL。そのうち酸素は吸気の21%、呼気の16%を占め、人はこの差5%ぶんを消費している。500mL の 5% は 25mL(0.025L)である。標準状態で気体 1mol は 22.4L となるため、

\displaystyle \frac{22.4}{1}=\frac{0.025}{x}

より、

\displaystyle x=0.00111

つまり人間はひと呼吸につき、0.00111mol の気体酸素を消費していることになる。酸素分子はO2なのでその分子量は原子量16の2倍で32となり、質量[g]は「物質量(mol)×モル質量(≒分子量)」なので、

\displaystyle 0.00111\times32=0.03552

1回の呼吸には 35.52 mg の酸素を必要とするわけだ。そして、海洋の表層にある水の中には酸素が 6 mg/L 程度含まれているらしいが、1回の呼吸ぶんの酸素 35.52 mg を得るには何Lの水が必要かを考えると、

\displaystyle \frac{35.52}{6}=5.92

となり、 呼吸のたびに 5.92L の水から抽出しなければならない。

平均的な人間は、安静時に毎分約15回呼吸している。もし同レベルの酸素を水から供給するとなると、

\displaystyle 5.92\times15=88.8

毎分約 90L を処理する必要があり、現実には難しいだろう。デバイス内へ水を強制的に通すポンプがない場合、装着者の泳ぎで水の流れを生み出すことになる。毎分15回の呼吸に必要な分を供給するには、とても速く泳がなければならない。そして泳ぐとなると呼吸量が増大するので、さらに水の処理量が多くなってしまう。

Triton」のコンセプト画を見ると、酸素を圧縮するための小型コンプレッサはあっても、ポンプという単語は見当たらない。CNETの記事には「必要な量の酸素をリアルタイムに得ることは難しいので、水中から取り出した酸素をコンプレッサで圧縮してタンクに貯め」とあるが、ということは使う前にあらかじめ酸素を貯めておかないといけないのだろうか。よくわからない。

酸素中毒の問題

これとは別に、酸素中毒の問題がある。ある程度の高分圧酸素を吸い続けると身体に異常が出て、最悪死ぬこともある。だからダイビングでは酸素中毒を防ぐため、呼吸ガス中の酸素分圧は通常1.4気圧以下に保つことになっている。水中では -1m で0.1気圧増えるので、この基準で純粋酸素のみだと水深 4m までとなる(水深4mで呼吸するには1.4気圧のガスを肺に満たす必要がある)。「Triton」の最大深度4.6mで制限45分間というのは、酸素中毒になる危険を伴いそうだ。

なお、一般的なスクーバダイビングでタンクに充填されているのは普通の空気である(だから「酸素ボンベ」は間違い)。

これまでの研究など

ちなみに、人工的な鰓についてきちんと研究している人々はいる。もちろん実用化は遠いが。

人工鰓が出てくる海洋SF

ついでに、人工鰓肺や鰓を持つ人間(水棲人類)が出てくる海洋SFを並べてみよう。漫画なら木城ゆきと「怪洋星」(『飛人 木城ゆきと初期作品集』所収)、都留泰作ナチュン』、厚子康洋「DEEP DRY ディープ・ドライ」など。映画なら『ウォーターワールド』。小説ではアレステア・レナルズエウロパのスパイ」(『火星の長城』所収)や、他にもたくさんあるはずだがパッと出てこない。

SFではないが以下の本では「もし人間にエラがあったらどうなる?」という疑問に答えている。

最近の検証記事(2016-03-27追記)

クラウドファンディング成立間近ということから話題となっているようで、英語圏でも「詐欺ではないか?」と怪しさを指摘する記事が出ていた(どちらも3月25日付)。2番目の記事には「Triton」開発元に電子メールで問い合わせたところ、返事がなかったとある。

また、掲示板などでも話題になっていた。以下は3月22日に立った検証スレッド。

日本のスラドでも23日にスレッドが立っている。

騒動の結果(2016-04-07追記)

結局、クラウドファンディング成立前に全額返金となった模様。しかし、人工鰓(膜)システムに液体酸素ボンベを連携する方式にして開発継続するとのことで、ふたたび出資金を募るらしい。液体酸素ボンベは詰め替え方式も開発したいとのこと。だが相変わらず呼吸ガスが純酸素なら前述した酸素中毒の危険性は残ってしまうのだが、その点については何も書かれていない。また、考案者のデザイナーはサイト上で「バッテリーを既存のものより30倍小さくする必要があり、次世代技術で……」云々と書いていたのだが、これについてもどうするのか謎である。

その他

これとはまったく違う話だが、以前「スクーバ・タンクを背負わずに、酸素注射を打ってダイビング」というネタが流布したのを思い出す。どちらも夢だけが先行しすぎである。