LightWave で線画出力:番外編

LightWave で線画を出す手法を調べている中で目に留まった、主流ではない方法を雑多に並べておく。

フォグを使う

LightWaveにはフォグ機能という、その名の通り霧のような効果を生成する機能がある。そして LightWave の輪郭線(エッジ)にフォグの影響が及ばないという性質を利用して、簡単な線画を出す手法が存在する。これで白地に黒の線画を出してみる。

例として、先日紹介し再配布している『終りなき戦い』のコンバットシェル(改変版)を使った。オブジェクトを Layout へ読み込み、カメラ等をセットする。[ウィンドウ]>[ヴォリューメトリクスとフォグオプション]>[特殊効果]パネルの[ヴォリューメトリクス]タブにて、フォグの設定をおこなう。

まず[フォグ種]で霧のかかりかたを選択するが、ここは[リニア]でよい。フォグの生成範囲を決めるため、カメラからの最短距離と最長距離を入力する。フォグはカメラを中心としたこの距離の範囲で球殻状に生成されるので、カメラからオブジェクトまでの間の空間に生成されるようにすればよい。

そしてこの範囲でオブジェクトが受ける霧の濃度を、パーセンテージで指定する。今回は完全にオブジェクトを隠すため、[最大量]を 100% に設定。[フォグ色]で霧の色を設定できるが無視し、ここでは横の[背景色を使用]を有効化する。背景とフォグ色を同じにすることで、フォグの影響が及ばない輪郭線だけを得るわけである。


今回の設定でフォグの生成範囲を想像すると、だいたいこのような状態だろう。左下の[グリッド]欄にある、グリッド間隔の表示を距離の参考にするとよい。

[背景]タブに移動し、背景色を白にする。ちなみにフォグ機能は周囲に霧を計算するのではなく、オブジェクトに[フォグ色]を載せてあたかも霧がかかったような効果を出すだけなので、背景は霧の影響を受けない。

左下[アイテム]でオブジェクトを選択し、[オブジェクト]ボタンを選択して[オブジェクトのアイテムプロパティ]ウィンドウを出す(ショートカット【p】)。[輪郭]タブで[シルエットエッジ][共有しないエッジ][鋭角の折り目][サーフェイス境界]をチェックして線の太さを設定する。[エッジ色]で輪郭線の色も選択できるが、今回は初期設定のままの黒でよい。[距離でエッジを縮小]はお好みで。

そしてレンダリングを実行。なお、今回は特にシェーダやフィルタを設定していない。

一応モノクロの線画が出力されたが、実に簡素で線の出ていない箇所も多い。1200×2000ピクセルでレンダリング時間は2秒ほど。なお、オブジェクト部分にはきちんとアルファチャンネルが生成されている。

追記(2017-05-12)

なお、LightWave 2015 からはオブジェクト同士の交差線が描画できる交差エッジ (Intersection Edges) 機能が搭載されたが、フォグを利用して線を出す場合は、[オブジェクトのアイテムプロパティ]>[輪郭]タブで交差エッジの項目を有効化していてもレンダリングには反映されないので注意。

モーションブラーを使う

モーションブラーと Edge ノードを利用して、鉛筆画のようなノイズがのったエッジ線を出す方法。ただし静止画を作る場合は、そのカットが動きの途中になるようキーを打つ必要があるかも。

[Scalar Layer]でプロシージャルのノイズ系テクスチャを設定してEdge ノードの線(Taper)に繋ぐ。[Scalar Layer]ノードの[位置]タブ[E]ボタンから[グラフ編集]を出し、任意の位置(1フレームで-1m等)でキーを打って[曲線]タブ>[前の振るまい]/[後の振るまい]で反復させる。

[カメラ]を選択したら[プロパティ]で[モーションエフェクト]>[ブラー]から[フォトリアル]を選択。ブラーのパラメータを調整。

[一般オプション]で[端数フレームを許可]にチェックを入れて有効化。あとは(任意のフレームで)レンダリング。

AH_CelShader を使う

Super Cel Shader などと同じように LightWave で標準搭載されていたシェーダープラグインだが、Windows 64ビット版ではサポートされておらず、さらに LightWave v11 からはそもそも搭載されなくなったので使えない。自分は64bit版を使用しているので v9.6 であっても搭載されておらず使えないため、手順がわからず、本当に線画が出せるのかも知らない。サーフェイスを4階調に分けてフラットな陰影を作るらしいが、詳しく知りたい方は以下を参照のこと。

Lovefish を使う

スウェーデンの学生(当時)によるNPRシェーダープラグイン「Lovefish」というのがあったらしいが、もはやダウンロードできない。成果は卒業論文として発表されている。

線ポリゴンを使う

線の入り抜きを実現させている。

アルファチャンネルを使って外周線を出す

ノード編集プラグインの DP Filter を使い、アルファチャンネルを拡大することでオブジェクトの外周線を出す方法。原理的に内部の線は出ない。

After Effects を使う

もはや LightWave ではなくなってしまうが、3Dソフトではなくて Adobe After Effects を使う方法もあるらしい。アニメスタジオの神風動画(LightWave を使用していることで有名)が使っているとのこと。

ライセンス

本記事に使用したオブジェクトの元データは、作成者の rogerharkavy 氏によりクリエイティブコモンズ・ライセンスの「Attribution-NonCommercial-ShareAlike(表示-非営利-継承)」で配布されているため、その派生物である本記事内の出力画像にも同じライセンスを適用する。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
rogerharkavy, Ditty を著作者とするこの 記事内の画像クリエイティブ・コモンズの 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
http://www.thingiverse.com/thing:21308にある作品に基づいています。