地球侵略について考察(?)した映像番組

古くはH・G・ウェルズ宇宙戦争』などから現在に至るまでSFの題材にされてきた、「地球侵略」について考察(?)する番組が近年いくつか作られていたようなので、ここに並べてみた。恒星間航行が可能なら惑星侵略なんてする必要がないのでは?――などと真面目に考えると話が終わるのでそこは触れないように。

2010年9月 カク博士のSF研究室2-5:エイリアンの地球侵略

ミチオ・カクのSF科学番組 Sci Fi Science: Physics of the Impossible(邦題:カク博士のSF研究室)のシーズン2で放映されたエピソード。


Sci Fi Science: Season 2, Episode 5 "Alien Invasion"

Sci Fi Science: Season 2, Episode 5 "Alien Invasion"

  • Network: Science Channel
  • Original air date: September 22, 2010
  • Format: Amazon Instant Video

ちなみにこの番組シリーズの元になった著書『サイエンス・インポッシブル SF世界は実現可能か』には「地球外生命とUFO」という章があるが、地球侵略についてはさほど取り上げられていない。有名なカルダシェフ・スケール(ニコライ・カルダシェフによる高度宇宙文明のレベル分け)を紹介し、タイプIII文明は自己複製ロボットを銀河のあちこちへ送り込めるだろうという記述はある。しかしだからといってタイプIII文明による資源目的の惑星征服などはありえず、レベルが違いすぎて我々人類は単に無視されるだけだと結んでいる。

2010年10月 宇宙のウソ・ホント:エイリアンの襲撃

天文学者フィリップ・プレイトが出演する番組 Bad Universe(邦題:宇宙のウソ・ホント)の1エピソード。

Bad Universe [DVD] [Import]

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地球外ウイルス、地球外細菌、そして自己複製探査ロボット(いわゆるノイマン型プローブ)などによる侵略に触れているようだ。プレイト氏は著書『宇宙から恐怖がやってくる! 地球滅亡9つのシナリオ』の中でも同じような点を解説・考察していた。そこから少しだけ引用してみる(傍点箇所は太字にした)。

いろいろな話を考え合わせると、好戦的な種族のほうが、宇宙旅行を実現する可能性がより高いのかもしれない、とわかるのだ。勝利を重ねた種族はどこよりも高度なテクノロジーをもっているだろうし、敵意をむき出しにまではしなくても、少なくともよそ者に対する警戒心が強いだろう。このことは、われわれ自身の星の場合にも確かに当てはまる。

こうした先進文明は、よそ者嫌いでエイリアンを恐れているはずだ。すでに、恒星間を旅する宇宙船の建造が技術的には可能なことは明らかにした。また、そうした宇宙船がみずからの複製をつくるように設計し、銀河系全体をくまなく探査するのにかかる時間を短縮することも可能である。

では、被害妄想的な種族にそんな宇宙船をつくる力を与えたらどうなるだろう?

2011年5月 エイリアン・インベージョン


When Aliens Attack

When Aliens Attack

  • Studio: National Geographic
  • DVD Release Date: September 12, 2011

地球外からの侵略が起こった場合についてシミュレーションしてみるという主旨の番組。
……なのだが、ツッコミどころ満載の内容になっている。扱うネタがネタなので仕方ないのだろうが、これはとりわけ詰めが甘いように思う。

調べてみると、地上波でも2012年6月4日の『世界まる見え!テレビ特捜部』と、2012年7月8日の『世界まる見え!DX特別版』で一部が取り上げられた模様。

番組のネタ本 Alien Invasion: How to Defend Earth の著者 トラヴィス・S・テイラー (Travis S. Taylor)ボブ・ボーン (Bob Boan) の2人も解説者として出演し、さらに番組の科学コンサルタント (Scientific Consultants) としてもクレジットされている。テイラー本人が言うには、もともと非対称戦を研究していた際の副産物として、エイリアンの侵略というネタを考察してその防衛プランを出版したとのこと。他には毎度おなじみSETI研究所のセス・ショスタックも出演している。

番組の詳しい内容は長くなるので別に上げておく

テイラーとボーンの両氏は、2006年にも An Introduction to Planetary Defense という共著書を(他の著者とともに)出している。2007年にロイター通信の記事日本語訳)でも取り上げられていた。こちらのリンク先で冒頭が読める。

2011年8月 Curiosity 好奇心の扉:宇宙戦争は起こるのか?

ディスカバリーチャンネルのシリーズ番組 Curiosity(邦題:Curiosity:好奇心の扉)の1エピソード。エイリアンが地球侵略してきたときに果たして何が起こるのか、そして我々はどう戦い、生き残ることができるのかを考察。もはやこの手の話題ではお馴染みのミチオ・カクやSETI研究所セス・ショスタック、そして宇宙生物学者のリン・ロスチャイルドらが解説役の専門家として出演。

物理学者、宇宙生物学者、政府顧問、軍事戦略家らの協力による侵略シナリオを基にして、専門家らの解説の合間に、そのシナリオに沿って作られた想像シーンが挿入される構成になっている。

これも内容については長くなるのでメモを別に上げておく。まあ、ナショジオの番組よりはましか。


Curiosity: Season 1, Episode 2 "Alien Invasion: Are We Ready?"

Curiosity: Season 1, Episode 2 "Alien Invasion: Are We Ready?"

こちらは放映前の番宣映像だが、なぜかこれを某新宗教系雑誌のサイトが記事にしていた(文中のバンビーというのはバンビ(仔鹿)のことだろう)。

蛇足

ちなみに宇宙人の侵略を描いた最初の作品は、H・G・ウェルズ宇宙戦争』(1898年)ではなく、ロバート・ポッター(Robert Potter)の1892年作品 The Germ Growers (黴菌を育てる者)である。