架空の惑星エポナ

ファーストコンタクト・シミュレーション活動「CONTACT」の産物に、惑星エポナという架空世界がある。自分が最初に知ったのは『SFマガジン』1997年3月号「てれぽーと」欄の読者投稿だった。

ファーストコンタクト・シミュレーションの詳細については「CONTACT Japan」のサイトを参照してほしいが、コンタクトする地球外生命を創るためにまず「ありえそうな」惑星世界を設定する、いわゆる「ワールドビルディング(世界構築)」という作業がある。要するに科学をベースにした異星の世界設定なのだが、まず星系と惑星を設定して、その環境における生物進化なども考えつつ異星生命を構築していくという、まともにやろうとするといくらでもリソースを注ぎ込めるような作業である。

そして、かつて本家CONTACTの面々がそんな作業をして創り出した惑星エポナ、それについてのWebサイトが作られている。SFや、ドゥーガル・ディクソン作品等の思弁進化もののファンにとっては興味深い内容だろう。

そして、この惑星エポナを舞台としたSFがいくつか書かれ、これまで〈アナログ〉誌に掲載されているらしい。

  • G. David Nordley “Fugue on a Sunken Continent” (1996) Analog Science Fiction and Fact, November 1996
    • G・デイヴィッド・ノードリイ「沈んだ大陸の遁走曲(フーガ)」この号のカバーストーリー。
  • Wolf Read “Epona” (1996) Analog Science Fiction and Fact, November 1996
    • 上と同じ号に載った、ウルフ・リードによる惑星エポナについての解説エッセイ。
  • Wolf Read “Duel For a Dracowolf” (1998) Analog Science Fiction and Fact, November 1998
    • ウルフ・リード「ドラコウルフの決闘」この号のカバーストーリー。
  • Wolf Read “Mirka's Wings” (2001) Analog Science Fiction and Fact, February 2001
    • ウルフ・リード「ミルカの翼」

このうち “Mirka's Wings” については、SFレビュアーの東茅子氏によるレビューがある。

惑星エポナで空飛ぶ知的種族と共存している地球人植民者たち。少女は地球人とエポナ人の友人たちと共に空を飛ぶのが大好きだ。友人たちの制止を振り切って、嵐の中を飛ぶなど何かと危険な行為をしてしまう。彼女が言い出したことのために友人が怪我をして両親に外出禁止を言い渡されるが、彼らの目を盗んでエポナ人の友人のところに遊びに行く。だが、そのエポナ人の友人は、なにか隠れて彼女に何かを企んでいるかのようだった……。

Analog 1996年11月号に筆者による記事と G. David Nordley の短篇が掲載され、また1998年11月号にも筆者による短篇が掲載されている惑星エポナとそのユニークな住人と地球人植民者を描くシリーズ。主人公の行動がどうしても納得行かない。まず、子供がこんなに危険な行動をとれてもいいのだろうか。自動車で危険な行動をとったら免許停止になるように、空の交通もなんとかなっていないとおかしい気がする。今回も筆者が表紙のイラストを自分で書いている。

Void Runner : Analog, February 2001

ちなみに同作のレビューを英語でも見つけたが、同様にあまり評価はされていない。

An Epona story. Kids play with their alien friends on Epona flying on some sorts of wings. One gets in a trouble as she behaves as a total irresponsible idiot. I would think that there would be some sort of age limit and/or screening before being allowed to fly.

The story has an annoying brat and pages and pages descriptions of flying. A very boring and very irritating story.

エポナの物語。子供たちがエポナで翼で飛ぶエイリアンの友達と一緒に遊んでいる。そのうち一人の少女が無責任な馬鹿をしてトラブルに巻き込まれる。思うのだが、飛行を許可される前に何らかの年齢制限や審査があるだろうに。

迷惑なガキが登場し、空を飛ぶ描写が何ページも何ページも続く。非常に退屈でイライラさせられる話。

Tpi's reading diary: Analog Science Fiction and Fact, February 2001